「人工股関節全置換術(THA)後の歩数変化量」に着目した研究論文の紹介をします。
目的
THA後歩数変化量(退院時-退院後1ヵ月)と関係する因子を検討し、
歩数の増加を図るアプローチの開発に寄与すること。
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対象・方法
対象:初回片側THA(前外側進入法)後の女性20例
在院日数:16.8±3.0日
評価時期:術前・退院時・退院後1ヵ月・変化量(退院時-退院後1ヵ月)
評価項目:歩数・自己効力感・膝伸展筋力・TUGT・疼痛
各評価方法を簡単に説明加えます⇩
評価方法(歩数)
歩数の計測は下記3軸加速度計を使用し、1日あたりの歩数とした。
評価方法(自己効力感:MFES)
「日常生活に伴う活動を転倒することなくどの程度行えるかという見込み感」
転倒関連自己効力感尺度の一つ。
点数:まったく自信がない(0点)から完全に自信がある(10点)、計0~140点
項目:計14項目
・風呂に入る
・戸棚やタンス、物置のところまで行く
・食事の準備をする(調理・配膳)
・家の中の廊下や畳の上を歩き回る
・布団やベッドに入る、布団やベッドから起き上がる
・来客(玄関やドア)や電話に応じる
・椅子にかける、椅子から立ち上がる
・衣服(ズボン・スカートを含む)の着脱を行う
・軽い家事を行う(掃除機がけ・本棚の整理程度)
・軽い買い物を行う
・バスや電車を利用する
・道路(横断歩道)を渡る
・庭いじりをする、洗濯物を干す
・玄関や勝手口の段差を越す
評価方法(膝伸展筋力、TUG-t、疼痛)
・膝伸展筋力:ハンドヘルドで
・TUGT:最大努力歩行で
・疼痛:股関節における歩行時痛をVASで
結果
結果の値は下記に載せています。
・歩数:術前から退院時低下し、退院後1ヵ月で術前と同程度。
・全ての項目で退院時から退院後1ヵ月で有意に改善。
考察
・術前よりMFES(転倒関連自己効力感)が低い場合、動作に必要な身体機能を高め、動作の指導が必要と考えられる。
・退院時から退院後1ヵ月にかけての歩数は「術側、非術側膝伸展筋力」・「TUGT」・「VAS」とは独立して変化したと考えられる。
本研究の限界
筆者が述べている限界です。
・サンプルサイズが少ない
・調査期間が退院後1ヵ月と短い
私的感想
最後に、私が勉強になったと思ったポイントをまとめます。
・MEFS(転倒関連自己効力感尺度)という評価バッテリー
・THA前後の歩数(術前と退院後1ヵ月:3500歩、退院時:2000歩)
・退院後1ヵ月の歩数の変化には筋力や疼痛よりもMEFSと関連がある
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