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高齢者における「やや速歩き」を検討した研究

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こんにちは。起業理学療法士の西島紘平です。
今日は、「やや速歩き」について検討した研究(R)の紹介です。
目新しさがあり興味深かったので、まとめてみました。

 

高齢者における歩行調整能力の違いによる身体的特徴

【目的】

高齢者の主観的判断による歩行速度調整能力と身体機能、注意機能、 認知機能との関係性について検討すること

【対象】

地域高齢者132名

【方法】

⦿歩行条件:「普通歩行」・「やや速歩き」・「最速歩行」の3条件

歩行速度調整能力:「普通歩行」と「最速歩行」の後に「やや速歩き」を行い、調整可能か否かを検討

「普通歩行」「やや速歩き」「最速歩行」の順に変化している者:調整可能

「やや速歩き」が「普通歩行」よりも遅い、あるいは「最速歩行」より速い者:調整不良

⦿身体機能:

・上肢筋力:握力

・下肢筋力:30秒いす立ち上がりテスト(CS-30)

・バランス能力:開眼片脚立位時間・TUG

⦿注意機能:TMT-A

⦿認知機能:MMSE

【統計解析】

・2群の比較(対応のないt検定)

・歩行速度と各項目の関係性(Pearsonの相関係数)

【結果】

・調整可能群:77名   ・調整不良群:50名(39.4%

・調整可能群は調整不良群より「やや速歩き」「最速歩行」が有意に速かった
(その他測定項目は有意差なし)

・調整可能群:歩行速度の増加に伴い、全ての項目と相関

・調整不良群:「普通歩行」と「やや速歩き」ではTUGのみ有意な相関
「最速歩行」ではCS‐30・開眼片脚立位時間・TUGが有意な相関

【研究者の考察】

・調整不良群は、筋力、バランス能力、TMTなど調整可能群と有意差はなかったため、機能面で低下が生じているとは考えにくい。

・歩行速度を調整する際にそれぞれの機能が十分に活用できていない可能性が示唆された。

・主観的判断による歩行速度調整ができない高齢者は、自己発揮能力が認識できていない可能性があり、自己身体認識の低下は転倒との関連があると述べられていることから、自己身体認識についての誤差(歩行調整能力)を評価することは重要であると考える。

【本研究の限界】

歩数を計測してない。
(歩行速度を速める手段には、歩幅を大きくするタイプと歩行率を上げるタイプがある)

転倒について検討していない。

・歩行速度調整能力の低下がどのような影響を及ぼすのかを今後検討したい。

私的レビュー

多変量解析で検討してみて欲しい。
(注意機能や認知機能など色々な項目を測定しているのだから)

速度調整不良群がこれほど多い(約40%)という結果に驚いた。
(そもそも健常成人は、速度調整可能なのか?)

・「速度調整」の評価方法は妥当なのか?

・「速度調整」について、転倒との関連があるのであれば、重要な評価項目となりそう。
(あまり、速度調整を重視した評価は行ってない)

・「速度調整」という評価項目についてまだまだ深堀りできる可能性があると思い、興味深かった。

 

 

 

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